日本の古代から近世における火葬の歴史

平安時代に編纂された『続日本紀』という史書があります。この書物には、法相宗の開祖である道昭が自分の死後火葬にするようにと遺命を残したとされています。西暦700年の出来事であり、これが日本最初の火葬であると長い間考えられてきました。
しかし、昭和31年に堺市に存在する陶器千塚古墳の発掘が行われ、窯型火葬墳墓が発見されました。そのため、道昭が没する約100年前には既に日本で火葬が行われていたことが明らかになったのです。日本でいつ火葬が始まったのかは、厳密にはわかっていません。
道昭の没後朝廷によって火葬が推奨されるようになり、703年には皇族としては初めて持統天皇が火葬に付されました。これに倣い、皇族や豪族といった支配階級の間で火葬が普及するようになりました。
江戸時代に入り檀家制度が作られると一般庶民の間にも火葬が広まっていきます。一方で徳川幕府が推奨した儒教の考えに基づいて仏教が批判されるようになったため、以前とは逆に支配階級が火葬を好まなくなったのです。